温泉の温度は、地域によってさまざまですから、地域ごとにその温度に合った入浴法が発達しています。基本的には、体温に近い温度の温泉に長時間入ればリラックスでき、逆に体温から大きく離れた温度の場合は、熱くても冷たくても体への刺激が強くなります。
ヨーロッパには、温度の低い温泉が多数ありますが、日本にも冷たい「温泉」がいくつか存在します。山梨県の増富温泉や大分県の寒の地獄温泉などがそれで、特に寒の地獄温泉の泉温は13℃。この温泉で寒冷刺激を14日くらい継続した結果、糖尿病が軽快した、というデータも出ています。
冷水浴は、急激に行うと血圧の急上昇を起こすので、徐々に体を慣らしていく必要があります。また、胃腸の活動や筋肉、肝臓の代謝機能が活発になり、呼吸量の増加、興奮作用、元気の回復などの効果があります。
34~38℃くらいの、体温に近いぬるいお湯に長時間入るのは、体への負担が少なく、リラックス効果が得られます。また、長時間つかっていることで温泉成分の体内への取り込みも進みますから、万人におすすめの入浴法、温泉ということができます。
ヨーロッパの多くの温泉の温度は、だいたいこれくらいです。日本では、これくらいの温度の温泉は「ぬる湯」「持続湯」などといわれ、一晩中入浴し続ける人がいるため「夜詰めの湯」などと呼ばれていることもあります。
ただし、最近では加熱を行う温泉施設が多くなっており、純粋な持続湯は減り気味です。情緒不安定やノイローゼなど、精神的な病への効果が古くから知られてきました。
福島のぬる湯温泉、新潟の栃尾又温泉、群馬の法師温泉、山形の五色温泉、長野の鹿教湯温泉、岡山の湯郷温泉などがこのジャンルの温泉です。
通常の温泉療養でよく利用されるのは、38~41℃くらいの温度の温泉です。体が適度に温まり、体への負担も比較的少ない温度といえます。42℃の熱いお湯に入った場合、血圧が一気に50も上昇することがありますが、40℃のお湯なら、上がっても上昇カーブは、はるかに緩やかです。
また、脈拍の上昇も42℃では数十くらいになるのに対して、40℃ならごくわずか。こうしたことからも、体の負担が少なくてすむことがわかります。
38℃くらいの温度なら、20分くらいの長時間入浴も可能で、体が芯から温まり、湯冷めしにくくなります。
42℃以上の高温浴は、体の弱い人や高齢者、乳幼児などにはお勧めできませんが、その強い刺激を利用した湯治入浴は古くから行われてきました。
草津温泉で昔から行われてきた「時間湯」は、44~48℃の高温のお湯に湯治客が集団で3分間入る入浴法で、それを午前7時、11時、午後3時、6時にのみ行います(それ以外の時間は入浴禁止)。かつては、リウマチや皮膚病などを治すために利用されてきましたが、危険をともなうために、現在では一部でのみ行われています。
いずれにせよ、高温浴は、体力が落ちている人は避けなければならない入浴法です。医師の指導がある場合にだけ行うと考えておくほうがいいでしょう。
参考ページ:アドバイザー検索
月刊みんかつ 176号より