温泉の湯を飲む「飲泉」は、温泉水の薬効成分を皮膚からだけでなく、直接体内に取り込もうという健康法です。ヨーロッパでは昔から盛んに行われており、現在では日本でも飲泉設備を備えた温泉が多くなっています。
症状ごとにお勧めの泉質を挙げるなら、貧血、出産後、萎縮性胃炎、リウマチなどには鉄泉、慢性の胃潰瘍や十二指腸潰瘍、痛風、過酸性胃炎にはアルカリ性泉、無・低酸性胃炎には酸性泉、胆汁促進、動脈硬化予防などには硫酸塩泉などになります。
しかし、湧き水を飲むわけですから、十分な注意が必要になります。また、温泉ごとの薬効成分(泉質)によって、飲泉してはいけない禁忌症があります。
まず飲泉設備以外の場所で飲むのは禁物です。衛生面からも、効果面からも、飲泉設備の湧き口から出てくる温泉を、そのまますぐに飲むのがいいのです。ポットなどに入れて持って帰っても、時間とともに成分が老化するので、あまり意味はありません。1回あたりの飲泉量は、100~200mlくらいにし、ゆっくりかむように飲んでください。飲みすぎると、食欲を低下させたり胃腸を痛めたりします。
飲む時間は、泉質により異なります。塩化物泉、二酸化炭素泉、炭酸水素塩泉(重曹泉)などは、早朝空腹時と夕食前に、逆に鉄泉は食後すぐ、また放射能泉も食後に飲むようにしてください。酸性泉は、湯や水で薄めて飲むか、ストローで飲まないと歯を傷めてしまいます。
また、高血圧や腎疾患の人、あるいはむくみがあるときなどは、塩化物泉、ナトリウム炭酸水素塩泉(重曹泉)を多量に飲まないように気をつけてください。甲状腺機能亢進症のときには、ヨウ素を含む泉質のものは飲んではいけませんし、下痢のときには、二酸化炭素泉、硫黄泉、硫化水素泉を飲むのは禁物です。
参考ページ:禁忌症と飲泉・入浴時の注意点
月刊みんかつ 176号より