
群馬県の北西部に位置し、“一浴玉の肌”、 通称「美人の湯」で知られる沢渡温泉。 山のいで湯は、古くからの湯治場として栄えてきました。 今も素朴な雰囲気を漂わせ、 四季折々の美しい自然が満喫できる温泉地です。
上信越高原国立連峰の南麓に位置する沢渡温泉は、標高600mの風光明媚な温泉地です。
開湯年代は定かではありませんが、縄文文化が栄えたころから湯の湧くところとして知られています。源氏の木曽義仲、源頼朝の武将も、沢渡のいで湯で疲れを癒したと伝えられています。

沢渡温泉の遠景
江戸時代には、暮坂峠を越えて草津へ通じる要路であったため、「草津のなおし湯、仕上げ湯」とされていました。
草津の酸性泉で湯ただれをおこした湯治客が、沢渡温泉のアルカリ成分の高い湯で癒し、湯治の仕上げをしたことに由来しています。
こうして沢渡温泉は療養のための湯治客で栄え、多くの著名人も訪れています。江戸幕末の蘭学者・高野長英もその一人で、さまざまな長英秘話が残っています。
また、歌人の若山牧水は、大正11年10月20日、草津から沢渡へ抜けるために暮坂峠を越えた際、「枯葉の詩」を残しました。そこには、

と歌っています。

牧水祭り
沢渡ではこの日にちなんで、毎年10月20日の紅葉の美しいときに、「牧水祭り」を開催しています。
このように沢渡温泉は、多くの文人墨人に愛され、明治末期には50軒もの旅館が建ち並び、大変にぎわっていました。
しかし、昭和10年(1935年)の大水害、昭和20年(1945年)の大火と2度の災害に見舞われ、温泉地はにぎわいを失いました。その後、昭和35年に温泉ボーリングを行い、湧出量が増加してみごとに立ち直り、高度経済成長期には次第に旅館の数も増えていきました。
昭和37年には、群馬県医師会によって沢渡温泉病院が開設され、温泉と医療を結び付けた治療を行っています。

沢渡温泉街唯一の共同浴場
沢渡の湯は、泉温が55℃、泉質は弱アルカリ性低張性高温泉・アルカリ性(pH8.5)カルシウム・ナトリウム―硫酸塩・塩化物泉。無色透明で、ほんのりと卵をゆでたときの匂いがあります。
皮膚病、リウマチ、痔疾、婦人病などに効果があり、肌をなめらかに整えることから、「一浴玉の肌となる美人の湯」ともいわれ、女性に人気です。
温泉街の坂の途中にある共同浴場は、源泉掛け流しの熱めとぬるめの2つの湯船があり、「湯の華」が浮かんでいます。お湯の注ぎ口にはコップが置いてあり、飲泉もできます。
沢渡温泉街の旅館に宿泊している方は、300円の入場料が無料に。ポリタンクでお湯を持ち帰ることもできます(有料:200円)。

切り立った岩肌を
流れ落ちる霧降の滝
沢渡温泉は、上信越高原国立公園と日光国立公園を結んだ日本ロマンチック街道の真ん中に位置し、美しい自然が訪れる人を包みこんでくれます。登山道や遊歩道が整備され、四季折々の自然美を楽しむことができます。
沢渡温泉の西にそびえる有笠山は標高884m。美しい姿の山で、頂上には湖があり、白い大蛇が住むという神秘的な伝説が残っています。登山コースは変化に富み、弥生時代中期といわれる先住民の住居跡もみられます。
温泉街から1kmほど入ったところに入口のある仙人コースは、滝や洞窟がある往復約2時間の道程です。
のんびり林道を歩くと、やがて仙人窟にたどり着きます。入口から50mぐらいは直線ですが、そこから奥は道がいく筋も迷路のように分かれている不思議な洞窟です。
霧降コースは、大岩不動堂と霧降の滝の迫力ある景観が美しく、一見の価値があります。
うっそうと繁る深い森の中の参道を渓流に沿って歩くと、やがて切り立った岸壁の真下に建立された大岩不動堂に着きます。
境内の岩陰にはヒカリゴケが自生。すぐ裏手には、大岸壁から流れ落ちる霧降の滝や、樹齢800年と推定される県天然記念物の大岩の三又杉が見事です。
コースに沿って見る清流は、季節を問わず美しい眺め。滝壷にはイワナやヤマメが生息し、大岩の上に生息するカモシカの姿を見かけることもあります。
一方、お年寄りや小さな子どもでも気軽に散歩できるのは、所要時間30分のかじか遊歩道です。せせらぎ公園から上沢渡川に沿って、清流のせせらぎを聞きながらのんびり歩くのに最適。特に紅葉のシーズンは多くの人でにぎわっています。
また、温泉街の裏手から始まる官舎山遊歩道は、沢渡神社、大樫の木、金比羅様、官舎山などを結ぶ所要約30分の散歩道。コース途中の東屋は、ツツジの絶好のポイントです。

モータースポーツが楽しめる
アウトドアパーク
若い人に人気なのが、有笠山の麓にある沢渡温泉アウトドアパークです。
県内最大級のオフロードモータースポーツランドは、山間にある静かな沢渡温泉に「村おこし」をしようと、若人有志の手作りによるもの。360度緑に囲まれ、両側に2つの清流があり、きれな空気と水と緑の野外天国です。
4輪バギーやミニバイクなどモータースポーツの体験や、家族連れには渓流釣りや川遊びが好評です。バーベキューやキャンプの施設も整っているので、ゆっくり自然を満喫できます。
肌にやさしいお湯、豊かな自然、素朴な人情――。沢渡温泉は、今も昔も変わることなく、温かく旅人を迎えてくれます。
月刊みんかつ 203号より
2006年1月23日 作成
20年間にわたって発行してまいりました「月刊 みんかつ」が、8月1日号より『こころ色』という名前でリニューアル創刊することとなりました。「温泉地で健康づくり」をコンセプトに、「健康を学び、健康を楽しむ」ライフスタイルを提案しています。
詳細は民活機構のサイトへ